百夜


“アウトブレイブ”



Preplay.


  GM   じゃあ、『百夜』のセッションを始めます!
  一同   おー!



 数人が同じテーブルに着き、紙や筆記具やトランプや飲み物を広げているという、この光景。
 実は、これからゲームを始めるところなのです。

 その名は、『テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム』。  遊び方が書かれたルールブックを元に、「ゲームマスター(GM)」が作ったシナリオを、「プレイヤー」が作った「プレイヤー・キャラクター(PC)」で遊ぶ――
 という、たいへん変わったゲームです。

 そしてこれは、「リプレイ」と呼ばれる新感覚文芸媒体。
 テーブルトークRPGのプレイ風景を録音し、さらに編集して作成された読み物です。

 テーブルトークRPGの遊び方は、実際に遊んで見ないとなかなかよくわからないものですが、リプレイは、このゲームの雰囲気を、おおよそ察する手助けとなるのです。


 ちなみに、今回ここで遊んでいる『百夜』というゲームは、一部の有志が勝手に盛り上がって作っちゃったオリジナルであり、一切販売されていないものなので、ご注意ください。



  GM   さて、この『百夜』の舞台世界には、〈イコル〉というエネルギーがあります。
 〈イコル〉は、封陣カリバーと呼ばれる、一種の魔法陣を回路のように通ることで、力を与える。
 人間や動物、植物や大地なんかも、体内のカリバーにイコルが通ることで、活動しているわけだ。  
  プレイヤーA   へー。
  GM   そして、この〈イコル〉とカリバーを使って、繁栄を極めたのが、機械文明〈アヴァロン〉。
 アーサー王と円卓の騎士と呼ばれる、誉れ高い騎士たちが、大陸全土を支配していた。
 そこには、蒸気機関から量子コンピュータまで、機械と名のつくものであれば、等しくすべて存在していた。
 まあ、蒸気機関も量子コンピュータも、〈イコル〉とカリバーで動かすと同程度の出力を出せるもんだから、後はもう好みの問題でしかなかったと。
  プレイヤーB   形だけどうするかってことか。
 GM   そう。ところが、円卓の騎士の1人であるランスロット卿が、謀反を起こしまして。
 内部紛争が巻き起こった結果、〈アヴァロン〉は崩壊してしまいました。
  プレイヤーB   あ、やっぱ円卓の騎士はそうなるんだ(笑)。
  GM   さらに、巨大なドラゴン、〈デヴァステイター〉が現れ、各地の都市を破壊してしまった。
 長い戦いの果てに、〈デヴァステイター〉は出現しなくなったが、〈アヴァロン〉は完全に崩壊していたし、世界はほとんど荒廃して、ろくに作物も育たない状態になってしまった。
 辛うじて生き残った人々は、〈グランド・カリバー〉という、大地に刻まれた巨大なカリバーに身を寄せ合い、半壊した街をなんとか建て直す。
 その〈グランド・カリバー〉の上でなら、作物もどうにか育ち、人は生き延びることができた。
 こうして、世界各地の〈グランド・カリバー〉の上に、〈封陣京カリバー・シティ〉という新たな都市が建設されていった。
  プレイヤーA   ふーん。
  GM   なお、そのとき率先して人々を導いてきた者たちが、その都市ごとの〈円卓の騎士〉となり、最高意思決定機関〈円卓〉を発足。
 以降、数百年間、シティは〈円卓〉の絶対的権力の元に統治されてきた。
 まだ稼働する機械類――〈古封陣ロスト・カリバー〉なんかも、完全に〈円卓〉の管理下に置かれている。
 そうでなくとも、機械のほとんどはブッ壊れて使い物にならなくなっていたから、今の人々は、だいたい13世紀頃の中世ヨーロッパレベルの文明力しかない。
 一般市民が〈ロスト・カリバー〉を持ってると、『てめえ死ね』って言われて〈円卓〉に粛清されるレベル。
  プレイヤーA   ひでえ(笑)。
  GM   そんな〈円卓〉を初めとする、強大な存在の前に、君たちPCは、もれなく翻弄されます。
 そして、PCが『どう頑張っても抗いようのない、どうしようもない運命』の前に窮地に立たされた時、
 空からエクスカリバーが降ってきます。
  プレイヤーB   どういうことなの(笑)。
  GM   〈アヴァロン〉終局期、アーサー王が持っていたエクスカリバーを元に大量生産された機械剣、エクスカリバー・シリーズ。
 これは、理不尽な運命に翻弄された人間の前に、突如として降臨する。
 その剣を抜き放つと、その者は、全身に守護の装甲をまとった〈臨戦者アウトブレイバー〉となる。
 そして、〈アウトブレイバー〉となったPCは、抗いようもなかったはずの運命を、覆すほどの力を得られるわけだ。
 というわけで、君たちには、そんなキャラクターを作ってもらいます。まずは、設定となるハンドアウトを読み上げよう。



PC1用ハンドアウト

目的:さらわれた姉を取り戻す

状況
 都市の中級層として、盲目の姉ジェシカと2人で暮らしていたあなたを、突然の悲劇が襲う。
 〈円卓の騎士〉リチャード・フォースライトが現れ、姉を連れ去ったのだ。
 リチャードは、都市を脅かす〈蹂躙獣デヴァステイター〉に対抗するため、彼女の生命が必要だと言う。
 納得しきれず、抵抗するあなたの前に、数十人の兵士が立ちはだかる……!



  GM   ……と、いうカンジです。
  プレイヤーB   絶望的だね(笑)。
  GM   このように、PCにはそれぞれ、何かしら絶望的な窮地に立ってもらいます。
  プレイヤーA   あ、全PCそうなのか(笑)。



PC2用ハンドアウト

目的:〈デヴァステイター〉を駆逐する

状況
 あなたは、エクスカリバーを手にする〈アウトブレイバー〉であり、〈円卓の騎士〉の治安維持担当である。
 最近は、街に〈デヴァステイター〉が出現し、多大な被害を出しているのが、悩みの種だ。
 そんな、ある時。同じ〈円卓の騎士〉であるリチャードが、〈デヴァステイター〉と似たカリバー傾向を持つ人間を囮として、〈デヴァステイター〉をおびき寄せる作戦を提唱した。
 そんな作戦は了承できないと、抗うあなたの前に、他の3人の〈円卓の騎士〉が立ちはだかる。
 あなた以外の〈円卓の騎士〉は、すでにリチャードに抱きこまれていたのだ!
 すぐに、この窮地を脱さなければ……!



  プレイヤーB   ……それは、PC1よりひどくないかい?(笑)
  GM   同じくらいかな。
 ブロードソードとハンドガンで武装した一般兵数十人と、ロングレンジライフルやガトリングガンで武装した〈円卓の騎士〉3名の脅威を比べると(笑)。
 なお、PC2はすでに〈アウトブレイバー〉です。昔、なにか絶望的なことがあって降ってきたんでもいいし、一家代々、伝わって来ていたんでもいい。



PC3用ハンドアウト

目的:〈解封者リベレイター〉を倒す

状況
 あなたはかつて、自らの住む都市を失った。
 〈リベレイター〉――〈理想響アヴァロニック・レゾナンス〉に惹かれ、すべてのカリバーを解除せんとする者によって、都市も人も、解封されてしまったのだ。
 〈アウトブレイバー〉であるために、解封を免れたあなたは、〈リベレイター〉ラッセル・ドリームゲイザーを追って、このシティに来た。
 手掛かりはまるでない。だが、早く彼を見つけ出さなければ……この都市もまた、その上にあるすべてのカリバーもろとも、解封されてしまう……! 



  GM   この〈リベレイター〉はですね、〈アウトブレイバー〉なんですが、それでも絶望に苛まれ、〈アヴァロニック・レゾナンス〉という旋律が聞こえてきちゃった人です。
 彼らは、この世のすべてのカリバーを解封して、新たな世界そのもののカリバーを作り直せば、自分の理想の世界ができるはずだと、確信してしまっている。
 なお、都市の基盤たる〈グランド・カリバー〉を解封すると、その上にあるすべてのカリバー……人間のそれも含む……が、まるごと消滅してしまいます。
 ただ、PC3のように、エクスカリバーを持っている人だけは、その影響を受けない。
  プレイヤーC   PC1とPC2は、ラッセルの存在を知らない?
  GM   そうですね。彼の存在を知っているのは、開始時点ではPC3だけです。
 PC1がエクスカリバーを手に入れる前に、ラッセルがこのシティを解封しちゃうと、PC1はもれなく消滅してしまう(笑)。
  プレイヤーC  『君は数十人の兵士に囲まれた。
 おや……? 街の様子が……?』
(一同爆笑)
  GM   では、ここから好きなハンドアウトを選んで、キャラクター作成を開始してください。
  プレイヤーB   この中から好きなのを選べって?(笑)



 と、ハンドアウトを選択するプレイヤー一同。
 その後は、ルールに従って、着々とキャラクターのデータを作りつつ、設定を深めていきます。



  GM   では、キャラ紹介をしてもらおうか。
  プレイヤーA   名前は、ウィリアム・ロック。15歳の男。
 おねーさんと一緒に暮らしている。
  GM   盲目の姉ジェシカと。
  ウィル   代々、ロックンローラーな感じで酒場で歌っている家系なんだけど、当代のウィリアム・ロック君はあまり才能がなく。
『どうしようかな……姉も養っていかなきゃいけないし……』と日々悩みつつ暮らしている、中流家庭の人間。
 おねーさんが『働きに出るー』って言うのを、そのたびに止めてる(笑)。
  プレイヤーB   ジョージ・ゲートキーパー。地道に〈円卓〉で淡々と職務をこなす、45歳のおっさんです。
 〈オーヴァーロード〉というエクスカリバーを持っています。
  プレイヤーC   私は、イザベル・パティスリー。お菓子職人の家系に生まれました。
 女、年齢25。〈ギモーブ〉という銘のエクスカリバーを持っていて、ぷよぷよした変なものを生成して、その上に乗れます。(一同笑)
  GM   了解了解。あ、みんないちおう、ドライブの名前を教えてください。



 『百夜』の大きな特徴として、『ドライブ』システムがあります。

 エクスカリバーの機構を瞬時に組み替えることで、まったく異なる戦闘スタイルにシフトすることができるというものです。

 キャラクターは、このドライブを2種ほど保持しています。



  ウィル   ウチは、ダンシングドライブと、ヒーリングドライブです。
  ジョージ   こちらは、ペネトレイトドライブと、フォートレスドライブ。
  GM   なるほど。どんな性能か、だいたいわかった(笑)。
 イザベルは?
  イザベル   ビタードライブとエアリードライブ。
  GM   わかんねえよ!!(一同爆笑)
  イザベル   ビターが、「いちおう攻撃もするかな?」って感じで、エアリーは、素早く移動できる感じ(笑)。
  GM   エアリーはわかる。ビターってなんだ(笑)。
  ウィル   攻撃っぽいドライブ名が、ぺネトレイトしか見当たらないんですが(笑)。
  イザベル   ビタードライブでは、武器による通常攻撃をもくろんでおります。(一同爆笑)
  GM   なんだか若干不安だが、セッションを開始しましょう(笑)。



Opening.01 『秘剣、降り落ちる時ソゥド・オブ・ディシジョン


  GM   ではまず、ウィルのシーンから。君は普段、どんな生活をしてる?
  ウィル   普段は――、酒場でダンスしたり歌ったりして働いて、夜になったら、ウチに帰って休んでる。
  GM   では、いつものように、裏寂れた酒場で踊っていると、
『やってらんねえよなあ、ひっく』
 とか言ってるおっさんから、ピン、とおひねりが飛んでくる。
 せっかくだから、判定をしてもらおうか。能力値のうち〔センス〕か〔イマジン〕で。
 場に出ているスタンダード・カードは「4」だ。これに対して、トランプの山札から1枚、カードをドローして『判定』を行う。
 ドローするカードが、スタンダード・カードに対して「High」か「Low」かを宣言して引いてくれ。
  ウィル   〔センス〕で判定する。「High」だ! (すちゃ、とカードを引く)……8!
  GM   「High&Low」が当たったので、〔センス〕のランク値に、「+1」の補正を足した値が、最終的な判定値となる。
 J以上だと、補正値も2、3、4……と増えていくんだが、今回はまあ、普通だったね。
  ウィル   合計4だ。
  GM   じゃあ、なかなかいい感じで――『やるじゃねえか』という喝采とともに、おひねりが跳んできた(笑)。
  ウィル   ありがとー。でも、こんな酒場じゃ、2人を養っていくのは無理だなー。
  GM   そうだねえ……。
 この世界の都市は、〈アヴァロン〉期に半壊した機械の建物をベースにしてるから、ここも、鉄板とねじとぜんまいと鉄パイプがカオスに入り組んだような、そんな「一般的」な建物の酒場で、かつ、程度の低い方だね。
 FF7に出てきた『セブンス・ヘヴン』がイメージに近いかな。なんかレジスタンスとかいそう。(一同笑)
  ジョージ  『最近、アヴァランチっていうテロ集団の噂を聞くんだが……』(笑)
  ウィル   昔はもっとよかったのになぁ。
  GM  『〈円卓〉の連中、俺たち中流階級を人間とも思っていやがらねえ……』
『最近は、〈デヴァステイター〉も出るしよぉ……』
 そんな会話を背中に受けながら、家に帰ると。
  ウィル   ただいまー。
  GM   集合住宅の一階にある家の扉を空けると、盲目の少女ジェシカが、『おかえりー』と声をかけてくる。
 失明する前から、縫製が得意だったので、今も地道にぬいぐるみを作っているところです。
  ウィル   上級層に行ければ、もっと楽をさせてあげられるんだけど……。
  GM  『今のままでも、私はだいじょうぶだよー』
 にこやかに笑って答える。
『あ、そっか! むしろ私が働けばいいのね』
  ウィル   頼むからやめてくれ!(笑) 危ないから。お金なら、稼いでくるから。
  GM  『そっかー。だめかー』
 若干しゅんとしつつ、手元のぬいぐるみをざっくざっくと。
  ウィル   じゃあ、夕食を食べて、後はいつも通りに寝るか……。
  GM   と、思ったときだ。
 ドンッ! という衝撃音とともに、扉が内側に吹き飛ばされたかと思うと、ばらばらばらッと、金属鎧に身を固めた〈円卓兵〉たちが、君たちの家に押し入ってくる!
  ウィル   な、何の用ですか! こんな時間に!
  GM  『そこにいるのが、ジェシカ・ロックか……。連行しろ!』 『はっ!』
  ウィル   いきなり何をするんですか!
  GM  『邪魔だっ』
 すがりついた君は、乱暴に振り払われ、床に叩きつけられる!
  ウィル   うわあっ。
  GM  『え、なに? どうしたの、この人たち? 酒場のお知り合い?』
 戸惑うジェシカが、強引に連れ出されていく。
 と、そこに、1人の男が現れる。
 年齢は40代半ば程。銀髪をオールバックにした、がっしりとした体躯の男だ。
 様々な紋章が刻まれた、高価そうなマントを羽織っており……
 ここで、〔イマジン〕で、難易値3の判定をしてくれ。[知識]スキルがあったら、そのLVを足していい。
  ウィル   さっきの判定で、スタンダード・カードが「8」になってるから……「Low」だ!
 (すちゃっ)「4」で成功。[知識]技能は3レベルあるから、7成功だ。
  GM   お、では極めてよく知っている。
 彼の名は、リチャード・フォースライト。このシティの〈円卓の騎士〉であり、軍務担当にして、リーダー格。
 ちょっと強引な手段を採りつつも、これまで都市の発展に貢献してきた。
 そして、エクスカリバーを使う〈アウトブレイバー〉でもある。腰には、《水流》と《大地》の属性を秘めたカリバー、〈グランド・ストリーム〉の銘を持つ、ごつい機械の剣が下がっている。
  ウィル   おおう、強そう。
  GM  『その娘が、ジェシカ・ロックか。連れて行け』『はっ』
  ウィル   待ってくれ! 姉が、何をしたっていうんだ!
  GM   では、リチャードは君をちらっと見る。
『そうか。ジェシカ・ロックには、弟がいるという話だったな』
  ウィル   そうだ! 俺たちは、この鉄板だらけの家で、ただ普通に住んでただけだったのに……!
 何も、悪いことなんて!
  GM  『確かに、そうだな。だが、こうするしかなかったのだ。
 今、このシティに〈デヴァステイター〉が出現していることは知っているな?』
  ウィル   まあ、噂程度は……。
  GM   〈デヴァステイター〉は、何かのカリバーの不調が原因で、それを〈巣〉にして出現すると言われている。
 ただ、出現範囲はとても広く、不意にヒュンと現れて、辺りを蹂躙しまくった挙句、またヒュンと消えて〈巣〉に戻るもんだから、とても倒しづらかったりする。
『その〈デヴァステイター〉に対抗するため、彼女には、利用価値がある』
 言って、バサッとマントをひるがえす。
『では、私は先に戻る』『はっ』
  ウィル   く、くそ……! 起き上ろうとするけど、さっきの一撃で身体の骨が砕けてて、力が入らない。
 力があれば、こんな奴ら……!
  GM   リチャードは去り、兵士たちは、ジェシカを連れて外に出ていく。
 歯噛みするしかない君――
 その目の前に、突如――天井をぶち抜いて、天空から飛来した1本の剣が、突き立つッ!
  ウィル   おおう。
  GM   同時に、世界から色が消え失せ、すべての動きが止まって見える。
 すると、突き立った機械剣――エクスカリバーの向こうに、一人の男の姿が現れている。
 ビロードのマントを羽織った、金髪の男――彼は、顔だけを振り向かせる。
『そいつは、貴封陣エクスカリバー――理不尽な運命に抗うための力だ。
 それを抜けば、おまえは、まさしく力を手にすることになる』
  ウィル   力……。それがあれば、姉さんを救える……?
  GM  『がんばれば――、な』
 にやり、と笑う。
『がんばるって意志があって、そいつを抜けば――できるかもしれねえ。抜かなきゃ――絶対できねえな』
  ウィル   うう……。でも、もういま、これしか可能性がないなら……!
  GM  『そうだ。さあ――抜きな。おまえの、エクスカリバーをッ!』
  ウィル   床に突き立っているエクスカリバーを抜くッ!
  GM   抜き放つ――その瞬間ッ!
 その鞘が分離・拡大し、まるで騎士の鎧のごとくなって、君の全身を覆い尽くすッ!
 それとともに、湧き上がる力ッ!
  ウィル   湧き上がる力ッ! 治る骨ッ!(一同爆笑)
  GM  『さあ――取り戻すんだろ? 姉貴をよォ!』
  ウィル   そうだ――取り戻して見せる。この力を使って……!
  GM   と、そこで世界に色が戻り――兵士たちが、『な、なんだっ?』と振り向いている。
  ウィル   今なら勝てるはずだ……! 剣をショットガンに変形させて、撃つッ!
  GM   炸裂する散弾! 轟音とともに、兵士たちが外に吹き飛ばされる!
『な、なんだ? エクスカリバーっ!?』『馬鹿なッ!』
 立ちはだかる、数十人の兵士たち――姉は、おそらく彼らが転がしてきたであろう装甲車の中に押しこめられた様子だ。
  ウィル   こいつらを倒して、姉さんを取り戻してやるっ……!
  GM   その言葉に、傍らで金髪の男がうなずく。
『さあ――見せてやりな。おまえが手にした力ってのをよ!』
 ここで、いったんシーンを切ろうッ!



Opening.02 『とめどなき失望クライシス・フォーリング


  GM   続いて、ジョージのオープニングです。
 この街は、現在、〈デヴァステイター〉の脅威にさらされています。
 〈巣〉となるカリバーを破壊しない限り、奴は突然現れ、突然消えていく、厄介な災害のままだ。
  ジョージ   ということは、どれが〈巣〉なのかは、まだわかっていない?
  GM   ああ。ロスト・カリバーは〈円卓〉が管理してると言っても、いくつか抜け道はあるし、そもそも、管理下のロスト・カリバー全部をチェックするのは、相当な時間がかかる。
  ジョージ   では、執務室で、下から上がってきたであろう書類を見ながら、『今回も外れか……』と、苦虫を噛み潰したような顔をする。
  GM   君は〈円卓の騎士〉なので、シティの中央に据えられた鋼鉄の城、〈キャメロット〉の中にある執務室だね。
 そうしていると、とんとん、というノックの音がする。
  ジョージ   どうぞ。
  GM  『失礼します!』
 ひとりの〈円卓兵〉が入ってくる。
『ゲートキーパー卿! フォースライト卿が、会議室にてお呼びでございます!』
  ジョージ   わかった。すぐ行く。
  GM   答え、君が向かうと、会議室には、すでに他の〈円卓の騎士〉が揃っている。
 1人は、でっぷりと太った中年の男――財務担当、ジェフリー・ワーズワース。
 1人は、君と同じ治安維持担当の、アマンダ・クイックアイズという、鋭角の眼鏡をかけた、厳格そうな40代女性。
 最後の1人は、法務担当、ジョシュア・ワイズクラック。やや小太りで、落ち着かなさげな雰囲気でいる。
 そして、リチャード・フォースライト。
  ジョージ   おそろいか。いったい何の用だね?
  GM  『うむ。貴卿にも、話を通しておかねばと思ってな』
 と、リチャード。
『今、街を騒がせている〈蹂躙獣〉のことだが……現在、まだ一向に、〈巣〉を特定できていない状態だ』
  ジョージ   そうだな。一刻も早く、解決したいところではあるが……。
  GM  『このまま手をこまねいていては、被害が広がるばかり。そこで、ひとつ策を打つ』
  ジョージ   ほう。
  GM  『長年の研究で、ある事実が判明した。
 人間は、みなカリバーを持つ……そして、そのカリバーの形状は、人それぞれ異なる。
 だが、まれに、人間以外のものに備わるカリバーと、良く似た形状のカリバーを持って生まれてくることがある。
 我々は、〈蹂躙獣〉のカリバー構造を研究し――それとよく似たカリバーを持つ人間を探し出すことに成功した。
 ジェシカ・ロックという娘だ。先ほど確保した。
 研究によれば、〈デヴァステイター〉は、自分と似たカリバーにおびき寄せられる傾向がある――』
  ウィル   あれ、確保されてる?(笑)。
  GM   君がエクスカリバーを手にする前に、リチャードいなくなってたから。彼の中では、確保したことになってる(笑)。
『で――だ。〈デヴァステイター〉は、いつどこに出現するかわからないからこそ、我々も戦力を集中できず、撃破が難しくなってしまっている。
 そこで、この娘を囮として、〈デヴァステイター〉をおびき寄せ――一気に、最大戦力で殲滅するのだ』
  ジョージ   市民を犠牲にしてまで、その作戦を実行するのは、少々……私としては、本意ではないのだが。
  GM  『犠牲になるとは限りません!』
 とアマンダが、メガネを吊り上げながら叫ぶ。
  ウィル   そんなキャラなのか(笑)。
  GM  『その娘が〈デヴァステイター〉に食われる前に、かの獣を殲滅すればよいだけの話です』
『ま、たとえ、食われたところで、市民1人程度……大した影響はないですからなあ』
 ジェフリー・ワーズワースが、いやらしく笑う。
  ジョージ   それには、眉尻をぴくりと上げる。
 市民を護ることが、我々の義務だ。
  GM  『より多くの市民を護るため――』
 と、リチャード。
『その娘の犠牲は厭わない。これは、我々の決定だ』
 その言葉に、ジェフリーとアマンダはうなずき、ジョシュアは、やや苦悩げな表情をする。
  ジョージ   では、ジョシュアに――。君も、賛成なのか?
  GM  『そ……、そうです……』
『そういうわけだ。貴卿にも手伝ってもらいたい』
  ジョージ   リチャード……、生命の価値に、大小はないぞ。
  GM  『大小はないが、重い軽いの区別はあろう』
  ジョージ   いいや、ないよ。
  GM  『それが、貴卿の答えか……。で、あるならば!』
 リチャードは、その機械剣――〈グランド・ストリーム〉を抜き放つ!
『貴卿には、〈円卓の騎士〉の一員たる資格はない!』
 さらに、他の3人も、各々ロスト・カリバーを取り出す。
『へッ、結局こうなると思ったぜッ』
『平和のためには、仕方ありませんね』
『う、うう……』
 四人が、いっせいに君に狙いを定める。
  ジョージ   では、悠然と、鞘から剣を抜き放つ。
 ならば、やるしかあるまい――ゆくぞ、〈オーヴァーロード〉!
  GM   すると、君の背後に、エクスカリバーに備わるAI――〈ニミュエ〉と呼ばれる女性体が出現。
『〈オーヴァーロード〉……〈アウトブレイブ〉』
 そのつぶやきに呼応して、君の全身を、鞘から構成されたアーマーが覆っていく。
  ジョージ   ペネトレイトドライブで、「属性:火炎」の武器〈フェニックス・クロウ〉を構える。
 ――命を捨てる覚悟のできた者から、来いッ!
  GM   しーんとなる。(一同爆笑)
  ジョージ   誰もねーのか!(笑)
 来ないなら、こちらからゆくぞ!
  GM  『一人で、この数に勝てると思っているのか?』
  ジョージ   勝てるか勝てないか、ではない。やるか、やらないか、だ!
  GM  『そうか――。では、屈してその場に這いつくばるがいいッ!』
 というところで、シーンを決めます。
  ジョージ   ――カッコよく決めたけど、内心、『やべえな』と思っている。(一同爆笑)


Opening.03 『〈理想響アヴァロニック・レゾナンス〉』


  GM   では最後、イザベルのシーンです。
 まず、回想から入りましょうか。あなたは、自分の都市で、〈デヴァステイター〉と激しい戦いを演じている。
 あなたといっしょに戦っているのが、〈アウトブレイバー〉のラッセル・ドリームゲイザー。《幻術》と《烈騎》の属性の使い手です。
 他にも、3〜4人ほどの〈アウトブレイバー〉がこの都市にいたんですが、全員、もう死んでしまいました。
  イザベル   ラッセルは、前衛タイプ?
  GM   んー、両方行けます。
  イザベル   じゃあ、ラッセルに前面に立ってもらって、こっちは弓をぴゅんぴゅんと撃ちましょう。
『ラッセル、危ない!』
  GM  『助かる!』
 叫びつつ、ラッセルは、サーブボードタイプのエクスカリバーを駆って、巨大なドラゴン――〈デヴァステイター〉の攻撃をかわす。
 さらに、反転しざまにグレネードランチャーを敵頭部に炸裂させ、それによって、ついに〈デヴァステイター〉は地に伏した。
  イザベル   ふう。なんとかなったわね。
  GM   ただ――ここ、実はこのシティのキャメロットなんですが、完全に蹂躙されてしまっていて、その上に〈デヴァステイター〉の死体が転がっているなう。
  ジョージ   『なう』言うな!(笑)
  GM   ラッセルの表情は暗い。
 実は、〈デヴァステイター〉を追い詰めるために、3人の仲間が犠牲になったわけですが、君たちの上司である〈円卓〉の作戦で、3人が囮になり、君たちが奇襲をかけることで、どうにか勝利したんですね。
 で、囮になった3人は死んだ。
  イザベル   まさか、こんな作戦だったなんて……。
  GM   そう。聞かされていなかった。君たちも、陽動となった3人の方も。
 しかもその〈円卓〉どもは、3人が囮になったところに、ロスト・カリバーの長距離迫撃砲などで無差別攻撃を加えていた。
 ただ、その〈円卓〉の連中も、〈デヴァステイター〉に薙ぎ払われて死にました。報い的に。
  ジョージ   そんなこったろうと思ったけど(笑)。
  GM   ラッセルは、拳を震わせている。
『こんな勝利に……何の意味がある……! 俺たちは、何のために戦ってきたんだ……! 切り捨てられて、死ぬためなのか!?』
  イザベル   首を横に振りながら、そっと近づいていきます。
  GM   すると――その場に、ザ、という足音が響く。
 同時に、姿を現すのは……要所を装甲で覆ったマントを身に着けた、小柄な人影。
 顔を完全に覆った兜から、女の声が漏れ出てくる。
『〈理想の響き〉を……聴け……』
  イザベル   ……ふぅん? という顔をする。
  GM   すると、その場に、何とも言えない旋律が聞こえてくる。(BGM変更)
  ジョージ   (BGMを聞いて)円環の理に導かれる!(一同爆笑)
  GM   この旋律を耳にすると、君たちの心の中に、それぞれの思い描く『理想の風景』がフラッシュバックする。
 そして、それを成すためには、すべてのカリバーを解封し、新たなる〈至封陣アークカリバー〉を作り直さねばならない、ということが理解できる。
  イザベル   そっか、なるほど。簡単なことだったんだ。
  ほか2人   あれッ!?(笑)
  G    これこそが――〈理想響アヴァロニック・レゾナンス〉。
 ラッセルは、『そうか……、そうだったのか』とつぶやき、下に視線を向ける。
 倒れた〈デヴァステイター〉の下には、複雑な紋様が刻まれた、小さな箱型の機械が存在している。
 この〈グランド・カリバー〉のコアだ。
  イザベル   じゃあ、そのちょっと危険そうな表情を見て、我に返った(笑)。
 ……ラッセル?
  GM   ラッセルは、ゆっくりと、コアに向かって歩き始める。
  イザベル   駄目だよ、ラッセル……! このシティには、まだ生き残りが――
  GM  『俺は……、俺の理想が、見たいッ!』
 叫び、ラッセルはエクスカリバーをソードモードにシフト。コアに突き立て――ぐり、ッと回す。
 瞬間、コアのカリバーが、鍵を開かれたかのように、がきッと回り――解けて消える。
 そして、このへん一帯の〈グランド・カリバー〉が、ざぁッと……一瞬にして、風花と化していった。その上にある、すべてのカリバーとともに。
 膨大な光があふれ、目を覆われ……気づいた時には、そこは、更地と化している。
 人口20万人を数えていたはずの都市は、一瞬にして消滅し――その場にはもう、君と、ラッセルしかいない。
  イザベル   ラッセル――あなた、何をしたか、わかってるの……!?
  GM  『理想に近づくための一歩を……踏み出した』
  イザベル   違うでしょ!? こんなの――! みんな、消えちゃったんだよ!
  GM  『そうだ。だから――すべてのカリバーを解封して……失われたすべてを取り戻す……! あるべき形に……!』
  イザベル   できっこない――そんなこと、私がさせないっ!
  GM  『ならばおまえも、邪魔なだけだっ!』
 ラッセルは、カリバーをガトリングガンに変形させ、乱射してくる!
 濛々たる煙幕が晴れた頃には、彼の姿は、どこにもない。
  イザベル   ラッセル……。私が、必ず……!
  GM   と、いう回想を経て。あなたは、このシティにやってきました。
 ただ、ラッセルひとりを探し出すのは、結構困難ですね。ここもまあ、人口20万人ほどの都市なので。
 でも、あなたがこの都市に足を踏み入れると、あのときの〈アヴァロニック・レゾナンス〉が聞こえてきた。
  イザベル   これは……!
  GM   間違いない。かつて聞いた、ラッセルの〈アヴァロニック・レゾナンス〉だ。
 他の人間には聞こえていない。行商人たちが、何気なく行き交っている。
  ジョージ   いっしょに聴いていたから、わかるのか。
  GM   この都市のどこかに、必ずラッセルはいる――その証明だ。
  イザベル   早く見つけ出さないと――。私がああなってしまう前に――。
  ジョージ   あれ?(笑) そういう話だっけ?
  イザベル   ずっと聞いてるとね(笑)。
  GM   実は、〈アヴァロニック・レゾナンス〉それ自体は、その人にとっての理想の風景を見せ、それを成すための方法を提示するだけで、精神的な強制力は持たない。
 とはいえ、心が折れて絶望すれば、誰だって、それに惹かれてしまわないとは限らないわけだ。
  イザベル   私はまだ、絶望するわけにはいかない……。
 ラッセル――ちゃんと、話をつけないと……。
  GM   では、そこでシーンを終了しましょう。



 次回へ続く