クラス・クロス



“ブラック・クロス”





Preplay.


  GM   じゃあ、『クラス・クロス』のセッションを始めます!
  一同   はーい。



 数人が同じテーブルに着き、紙や筆記具やダイスや飲み物を広げているという、この光景。
 実は、これからゲームを始めるところなのです。

 その名は、『テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム』
 遊び方が書かれたルールブックを元に、「ゲームマスター(GM)」が作ったシナリオを、「プレイヤー」が作った「プレイヤー・キャラクター(PC)」で遊ぶ――
 という、たいへん変わったゲームです。

 そしてこれは、「リプレイ」と呼ばれる新感覚文芸媒体。
 テーブルトークRPGのプレイ風景を録音し、さらに編集して作成された読み物です。

 テーブルトークRPGの遊び方は、実際に遊んで見ないとなかなかよくわからないものですが、リプレイは、このゲームの雰囲気を、おおよそ察する手助けとなるのです。


 ちなみに、今回ここで遊んでいる『クラス・クロス』というゲームは、一部の有志が勝手に盛り上がって作っちゃったオリジナルであり、一切販売されていないものなので、ご注意ください。



  GM   まず、概要を説明しましょう。
 今回遊びますのは、『クラス・クロス』というゲームです。ファンタジーなんですが、ちょっと特殊な背景世界になっておりまして。
  プレイヤーA   ふむ。
  GM   まず、大陸があり、人が住んでいました。世界を創った神が、どっか行っちゃった世界です。
 そんなところに、3柱の神が突如降臨。神のいない世界なので、自分たちのものにしようとして、争いを始めてしまいます。
 ただ、神同士は殴り合うことができないんで、大陸の民族を三分割して、自分の属する『クラス』を与えてやる代わりに、ちょっと大陸を統一して覇権を取れと命じました。
 ていう状態で、数百年が経過して、現在です。なので、この世界では、人はみな『クラス』を持っています。
  プレイヤーB   なるほど。
  GM   まず、癒しの神ヴァクナファスの加護を受けた、ウヴォワルド王国の民。彼らは、みんな“癒し手ヒーラー”のクラスを持ち、普通のファンタジーっぽい生活を送っている。
 続いて、兵器の神ログシェイファの加護を受けた、ガークライズ領域の民。彼らは、“機身サイボーグ”のクラスを持ち、肉体を機械で強化している。
 最後は、呪術の神ディヤルクァンの加護を受けた、ユザミィーナ連邦の民。彼らは、“刻印者タトゥード”のクラスを持ち、他人に不幸をもたらし、自らに幸を呼び込む魔術を使うことができる。
  プレイヤーC   ほう。
  GM   今回舞台になるのは、これらの部族が三つ巴に争う大陸の中央にあるパグラパシス同盟。ここは中立地帯となっていて、戦争を忌避する人間たちが集まって出来た、3種族混在の国です。
 という場所で、みなさんには、いろんな『クラス』にまつわる物語をやってもらいます。
  プレイヤーC   中立って、破られるためにありますよね(笑)。
  GM   まあね(笑)。パグラパシスの立場は、非常に微妙なものです。経済的な意味でがんばってるので、どの国も潰すことはできないんですが、その代わり、裏から支配しようとしたりしています。
 では、今回のセッションのハンドアウトを読み上げて行きます。



PC1用ハンドアウト

ベースクラス:黒天牙(エッセンス:“癒し手ヒーラー”/“密偵スカウト”/“暗殺者アサッシン”)

状況
 あなたは、央都パグラパシスで、鍛冶屋の子として生活している身だ。
 ある日、父が病床に倒れ、命尽き果てることとなる。
 そのとき、父は、自らの、“密偵”と“暗殺者”のクラス・エッセンス・クリスタルを、あなたに託した。
「これに……私の、本当の役割が、刻まれている。おまえは――それを――継げ――」
 それは、ウヴォワルド王国による、パグラパシス女王暗殺計画の全貌であった。
 困惑するあなたの前に、その計画の鍵を握る少女・ディーが、姿を現した――



  プレイヤーB   なんと(笑)。
  GM   このベースクラスに、1個、自分の好きなクラス・エッセンスを加えて、合計4つのエッセンスを以って、『俺のクラスはこれだーっ!』と叫ぶことができます。
 で、このハンドアウトのPCは、本来、“密偵”と“暗殺者”のエッセンスを持たないんですが――人が死ぬ時、そのクラス・エッセンスが結晶化することがありまして。それを受け取った結果、追加エッセンスをゲットする形になります。



PC2用ハンドアウト

ベースクラス:呪術戦士(エッセンス:“刻印者タトゥード”/“呪術師ウォーロック”/“戦士ウォリアー”)

状況
 あなたは、妹ディーとともに、ユザミィーナ連邦で、平和に暮らしていた。
 だが、ある日――突如として現れた謎の男により、ディーがさらわれてしまう。
 あなたは、央都パグラパシスに移り、ディーの手がかりを求める日々を送っていた。
 そして、ついに、その情報網がディーに良く似た容姿の少女を捉えた。
 彼女は、しばしば路地裏で、謎の男と接触しているという。今日もまた――



  GM   “刻印者”は、身体に呪印と呼ばれる紋様を刻み、様々な呪術的効果を発揮できるクラスですね。
 このPCには、さらわれた妹を助け出してもらいます。
  プレイヤーC   PC1を殺すしかないですね、もう。(一同笑)



PC3用ハンドアウト

ベースクラス:隠れ司祭(エッセンス:“癒し手ヒーラー”/“司祭プリースト”/“貴族アリストクラット”)

状況
 あなたは、ウヴォワルド王国の《教皇庁》に属する司祭である。
 数年前、あなたに命令が下った。いずれ来る作戦のため、パグラパシスに潜入せよというものだった。
 そしてあなたは、パグラパシスの文官となり、偽りの生活を送ることとなった。
 すべては国のためであり、大神ヴァクナファスのためである。
 だが、パグラパシスで暮らし、女王や側近たちの、民を思いやる心に触れるなかで、あなたの気持ちには、変化が生じた。
 《女王暗殺計画》の始動が告げられたのは、そんな時だった――



  GM   ということで、心が揺らいでいる感じのスパイです。
 では、このハンドアウトから好きなものを選んでもらいます。
  プレイヤーC   今回、ガークライズ領域の人はいないんですね。



 というわけで、ハンドアウトをそれぞれ選び……
 2時間ほど後、キャラクターが完成したのでした。



  GM   では、PC1から順番に、キャラを紹介してもらいましょう。
  プレイヤーA   はい。『ルート・ダナイ』。央都パグラパシスで、鍛冶屋の息子をやってる13歳。
 ただ、“吟遊詩人バード”のエッセンスがあるので、鍛冶とかよりも、歌とか唄ってる方が好き。
 そんな普通の少年なんですが、実は父親が謎の暗殺者で、密命を帯びていたという。
 クラスを4つそろえると、クラスは黒天歌ブラックスワンとなります。“癒し手”/“密偵”/“暗殺者”/“吟遊詩人”なので、唄いながら[隠密]して敵を倒します。
  GM   意味がわからねえ(笑)。
  ルート   歌っていうより、口笛の気分かな。自分にはボーナス、相手にはペナルティを与えて戦います。
 得物はカタナ。親父の形見かな。これはかなりの業物でして、プレイヤー経験点でお金を稼いで(笑)、「属性:『神性』」にしてあります。
 また、これもプレイヤー経験点を消費して、専用の能力である【ハルモニア】というのを作りました。「属性:『神性』」で攻撃する場合に限り、発生するAP(アクション・ポイント)が1下がります。
  GM   了解しました。では、続いてPC2。
  プレイヤーB   はい。PC名は『ラッセル』
 クラス・エッセンスが、“刻印者”/“呪術師”/“戦士”そして“獣人ライカンスロープ”。
 全部合わせて《呪術獣士》です。
 原住民である獣人でありながら、人に近い容姿を持つため、人の社会に溶け込んで暮らしています。
  ルート   どれくらいケモいんですか?
  ラッセル   《ビースト・ウィング》を取っているので、背中に小さい翼がある。妹ちゃんも羽っ子ですよ(笑)。
  GM   ほう。データを強くしておこう。(一同笑)
  プレイヤーC   敵に飛行能力がついたぞ(笑)。
  ラッセル   ただ、妹のディーが謎の男にさらわれてしまったので、暮らしていたユザミィーナを出て、はるかパグラパシスまでやってきて、探し続けています。
 性格的には――妹と二人暮らしだったので、妹に近づく妙な虫は《カース・コール》《致命呪》《フレイム・スリング》を融合させた技、《カース・フレイム》で焼き尽くし……
  ルート   ヒドい!(笑)
  GM   では、最後。PC3。
  プレイヤーC   はい、名前は『フラウィウス』。ウヴォワルド王国の《教皇庁》で出世街道を歩いていたのですが、運悪く、“混沌”に烙印を押されてしまいまして。
  GM   大神に属さない勢力の、目印にされちゃったわけですね。
  フラウィウス   それで国にいられなくなったので、『じゃあおまえパグラパシスに潜入して来い』と言われまして。
 “混沌の烙印者”であることを隠して、人当たりのいい司祭として暮らしながら、工作活動を続けています。
 クラス名は《背教者》。“癒し手”/“司祭”/“貴族”/“混沌の烙印者ケイオティック・ブランド”がエッセンスです。
  GM   では、このメンツでセッションを始めたいと思います。



 NexT