- GURPS -
百鬼夜翔

“妖怪少女とカウントアップ”



Scene.01 『聞き込み調査』


  GM   では、翌日。
  呂望   大学で、いなくなった大学生について調べてみたいね。そいつの友人とかにあたって。
  GM   では、せっかくなので、『反応判定』をしてみましょうか。
 こっちで『反応表』を振るので、どちらか、反応修正が大きい方の値を教えてください。相手は男性です。
  ジャンヌ   私の方が大きくて、+5ですね。
  GM   +5!?
  ジャンヌ   「容貌/美しい」の他に、「カリスマ」1レベルがあるので(笑)。
 GM   さすが聖女(笑)。(ころころ、とダイスを振って)……18かぁ。



 『GURPS』では、PCたちが、NPCに対してどれだけ好意的な印象を与えるかを、『反応判定』によって決めることができます。
 GMがダイスを振る値に、PCそれぞれが持つ「反応修正」をプラスするのですが、ジャンヌは、美しい容貌と、にじみ出るカリスマ性によって、結構な修正を持っていたんですね。
 すると、どうなるかというと――



  GM   反応判定18だと、相手は快く情報を教えてくれる。それどころか、関連情報を自分からしゃべりだす――とルールブックにはある(笑)。
『な〜んでも聞いてくれよ、ジャンヌちゃ〜ん!』
『なに〜? ジャンヌちゃん、フランスから来てんの〜? 俺、フランス語取っててさ〜。ボンジュ〜ル?』(一同笑)
  呂望   さすがジャンヌちゃん。僕だとこれはできない(笑)。
  ジャンヌ   そ、それであの、いなくなった人のことなんですけど……。
  GM  『あ〜、あいつはね〜』
 空手とかやってて、結構な自信家だった。酒が入ると気が大きくなって、笑いながら仲間を叩いたりする感じ。
 4日ほど前から、行方知れずになっている。寮通いなんだけど、帰ってきた様子はない。
 で、「関連する情報」を教えてなきゃいけないのか(笑)。
 えー、他の被害者とはまったく関係ないと言っておきましょう。
『この人たち調べてんの? 結構みんな、近くに住んでんのね。この辺だと、早稲田駅を使ってんだろうなー。あいつも、駅近くの駐輪場とか契約してたね』
 というところですね。
  ジャンヌ   ありがとうございました。
  呂望   じゃあ、次は――主婦か。
  ジャンヌ   近所の人に話をしてもらおう。
  GM   1D(サイコロ1個)振って、奇数だったら男性、偶数だったら女性としましょう。
 (ころっ)……+5か。(一同笑)



 圧倒的なカリスマ性によって、さくさくと情報を集めていくジャンヌ。
 いなくなった被害者には、やはり、ほとんど共通点がありませんでしたが――



  呂望   ただ、みんな、同じ駅に通ってて、同じ駐輪場を使ってる、と。
  ジャンヌ   只野さん、駅とか駐輪場とか、聞いて意味あるんですか?
  呂望   いやあ、聞けることはなんでも聞いとけ、って五道さんが言ってたからね。
  ジャンヌ   なるほど。
  呂望   やはり駐輪場に関係があるか……。でも、利用客は多いだろうから、なぜこの人たちだけが、って気はするね。
  ジャンヌ   現場100回、と何かの本で読みました。
  呂望   じゃ、そこに向かってみようか。
 あ、その前に、水之江さんに連絡してみよう。
  GM  『はい、水之江です』
  呂望   呂望です。佳代ちゃんの方はどう?
  GM  『彼女自身は、至って普通の女子中学生ですね。
 品行方正で、近年まれに見るくらい清純な女の子ですよ』
  呂望   後ろ暗いところはないわけか。佳代ちゃん、早稲田駅の駐輪場とか利用してない?
  GM  『あ、してますね。前は登下校をいっしょにしてたって話だし、結城リサちゃんも同じだと思います。
 あと今日は、学校帰りに、気晴らしに服とか買いに行くみたいですよ』
  呂望   ありがとう。引き続き、お願いねー。
 では、駐輪場に行ってみよう。
  GM   はい、では昼頃、話題の駐輪場に到着します。。
  呂望   管理員のおじちゃんに話を聞いてみるかー。ジャンヌちゃん、お願い!(笑)



 ここでもジャンヌのカリスマ性が炸裂し、スムーズな聞き込みを達成(笑)。
 駐輪場には変わったことはないようでしたが、被害者たちは全員、駐輪場に自転車を置いたまま、行方不明になっていることがわかります。



  呂望   つまりみんな、ここに来る前にいなくなったのかー。ふむふむ。
  ジャンヌ   自転車に何か共通点はあります?
  GM   いや、全然ないですね。
  呂望   じゃあ、ここから駅まで歩いてみるか。そこに、何かあるかもしれないしね。
 駅から駐輪場までの道筋を、くまなく探してみる。
  GM   では、【知力】で判定してもらおう。
 〈地域知識/高田馬場〉技能があれば、それで振ってもいいが(笑)。
  呂望   そんなもん、ないですよ(笑)。
  ジャンヌ   〈地域知識/フランス オルレアン地方〉は取ろうかとも思ったんだけど。(一同笑)
  一同   (ころころ)ぎりぎり成功!



 TRPGにおいて、「できるかどうか、やってみなくちゃわからない」ことを処理するのが、「判定」です。
 GURPSでは、「3D6(6面体ダイス3個)を振って、その合計値が、目標値以下であれば成功」という手段を用います。



  GM   ではですね。駅と駐輪場の間に、裏路地があるのを発見しました。
 時刻は夕暮れ頃。ふたりがそこにてくてく行くと、女の子の声が、聞こえてきます。
『きゅーう、きゅーう、きゅーう、きゅーう……』
  呂望   きゅう?
  GM   近づいていくと、ひとりの、小学校中学年くらいの女の子が、マンホールの上で、飛び跳ねている。
『きゅーう、きゅーう、きゅーう、きゅーう……』
  呂望   ……ジャンヌちゃん、あれ何?
  ジャンヌ   え、日本の遊びじゃないんですか? 私、知りませんけど(笑)。
  呂望   僕も知らないけど、最近の若い子の間では、流行ってんのかなー。
 ねえねえ君君ー、そこの〜。
  ジャンヌ   あ、近づいて行っちゃった。
  GM   あ、ところでみなさん、〈神秘学〉技能で判定を。
  一同   (ころころ)失敗!
  ジャンヌ   〈神学〉ならあるんだけど。(一同笑)
  GM   ちょっと趣が違いますね(笑)。
 とりあえず、失敗してもわかったことが1つ。このあたりには、人間がなんとなーく来なくなる妖力、[人払い]の結界が施されてます。
 異様な雰囲気が立ち込めていて、みんな無意識に、ここを通ろうとはしない。
 ちょっと普通の[人払い]と違う気はしたけど、それが何かはわからなかった。
  呂望   [人払い]があるなら、妖怪の姿に戻って、女の子に話しかけよう。
  GM   では[引き寄せ]の妖術が発動します。
  一同   なんだと!?(笑)
  GM   (ころころ)−4の修正を受けて、「よけ」判定をしてください。
  呂望   妖怪化してるから、そっちのデータで判定します。
  GM   本当に、妖怪の姿をあらわすのを恐れん奴だな。
『ねえお嬢ちゃん』と言った呂望をジャンヌがふっと振り向くと、そこには人間大のブリキっぽいロボが。
  ジャンヌ   ちょ(笑)。ろろろ呂望さん!
  GM   あれがただの人間の子供だったらどーすんだという(笑)。
  呂望   [人払い]されてるから、人間じゃないでしょ。
 そうだとしても、あの子ひとりくらいなら、別にいーじゃん。
 (ころころ)出目が1・1・2で大成功クリティカル



 不用意に妖怪の本性をあらわすのは、あまり賢い手段ではありません。
 敵(もしくはまだ敵でも味方でもない相手)を警戒させる可能性がありますし、何より、妖怪としての姿を見られると、そこから弱点を推理される恐れが高まるからです。
 ……が、呂望は「正直」なので、そんなことを特に気にせず、突っ走っちゃうんですねー。

 なお、後で調べたところ、[引き寄せ]は、回避も抵抗もできない妖術でした。うっかり。



  GM   では、君は[引き寄せ]に抵抗した。
  呂望   何をするんだ、きみー。
  GM  『お姉ちゃんたち、だぁれ?』
  呂望   ロボットだよ。
  ジャンヌ   [人間変身]解除。鎧がついて後光が差す(笑)。
 [畏怖すべき美]なので恐怖判定をしてください。(一同笑)
  GM   (ころころ)平気でした。物怖じしない感じですね。
  ジャンヌ   私は、聖女ジャンヌ・ダルク! あなたを、神の名のもとに審問します!
  呂望   まだ、悪い妖怪だと決まったわけじゃないから、痛いことはだめだよ。
 でー、話を聞きたいんだけどさー。君、なにしてんのー?
  GM  『ここで、“悪い子”を引き寄せてるのー』
  呂望   ……僕、悪い子じゃないよ(笑)。
  GM  『んー、でも、変な感じだったからー』
 まあ、ロボットがいきなり歩いてきたらねえ(笑)。
『あたしねー、“悪い子”を[引き寄せ]てねー、このマンホールの下に落とすのー』
 えー、〈神秘学〉で判定してください。
  一同   (ころころ)失敗!
  GM   では、この子が何の妖怪かわからなかった。まあ、水之江さんに聞けばわかるだろうが。
 少女はにこにこしながら、ジャンプし続けている。
  ジャンヌ   [引き寄せ]た人たちを、解放しなさい。
  呂望   このマンホールの下にいるんだよね?
  GM  『解放しろって言われても、よくわかんなーい。
 このマンホールの下がどうなってるか、あたし、知らないしー』
  一同   ……。
  ジャンヌ   そ、それでも、人を守るためなら仕方ない。
 私たちをそこに通しなさい。
  GM  『はーい』
 ひょいっとマンホールの蓋を取り外してくれる。
  呂望   君、結構筋力あるね。あれ重いのに。



 そういう妖怪だから……なんですが、判定に失敗しているから説明ができないことに苦悶するGMであったという(笑)。


  ジャンヌ   恐る恐る、覗き込んでみる。
  呂望   [レーダー感覚]で、周囲55mまでの生体反応を探知!
  GM   わ か ら ぬ。
  ジャンヌ   深ッ!
  GM   おそらくですが、この向こうは〈隠れ里〉――妖怪が生み出した異次元になっています。
 下手に踏み込むと、どうなるかわからない。
  ジャンヌ   ……入るのヤですね。
  呂望   ちょっと嫌だね。でも、入るしかないんじゃない?
  ジャンヌ   えー、女の子に……この下の結界は、あなたが張ってるの?
  GM  『ううん、ちがうよー』
  ジャンヌ   じゃあ、誰が張ってるんですか? あと、なんで[引き寄せ]て落とすんですかっ!
  GM  『んー、結界とかよくわかんないけど。ここに落とすのは、あたし、そういう妖怪だからー』
 マンホールの蓋を戻して、また飛び跳ね始める。
  ジャンヌ   妖怪〈マンホール落とし〉(笑)。
  GM   〈マンホール・ガール〉と呼んでください(笑)。
『あたし、ここを“悪い子”しか通れないようにしてて、そんで、“悪い子”が来たら[引き寄せ]て、“悪い子”がマンホールの上でジャンプしたら、蓋を外してるのー。すると、“悪い子”は落ちるのー。
 その数が、いま9人目なのー』
  呂望   だから、『きゅーう』って言ってたわけか。
  ジャンヌ   ほかに、あなたに知り合いはいるの?
  GM  『おじさーん!』
  呂望   どんなおじさん?
  GM  『黒ずくめのおじさんでね、毎日、今くらいの時間になると、ここに来るのー。
 おじさんはね、あたしにここで働けばいいって教えてくれたのー』
 こう、
『やあ嬢ちゃん、何人目だい?』『きゅーう、きゅーう、きゅーう』
 ってな感じで。
  呂望   かわいい(笑)。
  GM   彼女は非常に無垢で、おそらく生まれて間もない妖怪だと思われます。
 なので、物事の善悪もよくわかっておらず、自分を生み出した伝承の通りに行動している。
  呂望   じゃあ、おじさんを待つかー。
  ジャンヌ   呂望さん、[レーダー感覚]を使って、完全に隠れられる場所を探してください。
 それなら、判定とか要求されないはず(笑)。
  GM   確かに(笑)。いつも、おじさんが来る方向は固定なので、[レーダー感覚]を使えば、そこから完全に死角になる位置に隠れられますよ。
  呂望   では、そうしておこう。
  GM   というところで、水之江さんから電話が。
『佳代ちゃん、今日は友達といっしょに渋谷のブティックで買い物するみたいですよ。
 そっちはどうですか?』
  呂望   怪しいとこを見つけたところ。ちょっと連絡を控えてもらっていいかな?
  GM  『わかりました。引き続き、佳代ちゃんは《透明な目》で見ておきますねー』
 連絡は切れる。
  呂望   では、息を潜めて、いや、呼吸音を消して(一同笑)、待っていよう。
  GM   了解。すると、しばらくして、少女の言った通りの人影が、歩いてきます――。



 次回へ続く