村超スピリッツ!
魂の燃える時




Preplay  村超スピリッツ!


GM   じゃ、セッションを始めるよー。
一同   はいよー。



 数人が同じテーブルに着き、紙や筆記具やダイスや飲み物を広げているという、この光景。
 実は、これからゲームを始めるところなのです。

 世の中には、『テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム』という遊戯がございます。
 遊び方が書かれたルールブックを元に、「ゲームマスター(GM)」が作ったシナリオを、「プレイヤー」が作った「プレイヤー・キャラクター(PC)」で遊ぶ――
 という、大変楽しく奇奇怪怪なゲームです。

 ルールブックの値段はそれほどではないものの、1回のプレイに3〜4時間かかるという、やたら時間的コストが激しいこのゲーム。
 こんなゲームを趣味にするのは、よほど変わった人でしょう。

 そしてこれなるは、「リプレイ」と呼ばれる新感覚文芸媒体。
 テーブルトークRPGのプレイ風景を録音し、さらに編集して作成された読み物です。

 リプレイを読むと、
 (さ、作者の力量次第では)物語としても楽しめる上に、
 テーブルトークRPGの遊び方まで分かってしまうという、
 一挙両得の効果が発生します。

 『富士見ドラゴンブック』『ファミ通文庫』からは、多数のリプレイが出版されていますし、
 我がサイトを含め、オンライン上にも無料で読めるリプレイがUPされておりますので、どうぞ探してみてください。



GM   まずは、この「村超スピリッツ!」というゲームの説明からね。
 説明文章があるので、まずはこれを読み上げよう。



――世界は、村で出来ている。


 村の集合体、それこそがこの世界であった。
 それぞれの村は、高い『村超力』――すなわち世界を繁栄させる力――を持った、
『村長』たちによって、統治されていた。

 そんなあるとき、世界に戦乱が起こった。
 よその村を合併し、村に備わっている『村超力』を奪い取ることで、自分の村の『村おこし』を図った村長たちと、それに対抗せんとした村長たちの激突のためだ。

 村長たちは、激しい戦いを繰り広げた。
 ――山は裂け、大地は割れ、木々は焼け、花々は枯れた――

 やがて――村長たちは、気づいた。
 我田引水を試みた自分たちの争いのせいで、世界が荒廃してしまったことに。
 それだけではない。
 戦いあう村長たちの負の念は、『裏村超力』と化して、世界にあふれ始めたのだ。
 この力は、どんな人間にも高い『村超力』を与えるが――振るうたび、世界の荒廃が進んでいくというものだった。

 村長たちは自らの行いを悔やんだ。
 そして、争うことをやめ、世界を荒廃から救うべく、『村長連合』を発足。
 これから村長になろうとする若者や、村長としての立場を次代に譲った老人を集め、チームを組ませて旅をさせることにしたのだ。
 旅の最中に出会う村々と交流し、『裏村超力』の気配あらばこれを浄化する崇高な使命を与えて――。


――これは、村長たちの贖罪の物語である。



GM   君たちに作ってもらうPCは、この「パーティを組んで旅をしている」放浪村長になるわけだ。
 《村長連合》の命を受け、世界中の村々を訪れては交流を行い、力を求めるあまり裏村超力を得て裏村長となった連中を見かけては、『キシャーッ!』と浄化していく――
プレイヤーC   それ裏村長ですよね? 俺たちじゃないですよね?(一同笑)
プレイヤーB   今のは明らかに贖罪のかけ声ではなかった。
GM( )   じゃあ『SHOCK(ザーイ)!』と言いながら。
プレイヤーA   そんなアナタに僕はショックですよ。
プレイヤーB   我々、なんか革アーマーにモヒカンみたいな(笑)。
プレイヤーC   ヤッチマイナー!(笑)
プレイヤーA   そんな、肩にトゲトゲ生えてそうな僕たち、やめてくださいよ(笑)。
GM   まあそんなキャラを作ってもらいます。
プレイヤーA   やだー(笑)。
プレイヤーB   トゲトゲやだー(笑)。
GM   トゲトゲになるかどうかは、君たちのキャラクター・メイキング次第です。
プレイヤーB   確かに、やろうと思えばやれる。
GM   その前に、今回のシナリオの「今回予告」があるので、それを聞いてからキャラを作ってもらいましょう。
 なお、今回は「ランダム今回予告作成チャート」を使ってみた!



◆今回予告

 《農業》と《薬草》の村――《ホウエンハイム》。

 今や、その地は危機に瀕していた。

 牙をむく名所!
 減少する備え!
 そして、立ちふさがる支配者(オーヴァーロード)


村超スピリッツ!
「魂の燃える時」


 ――これは、村長たちの、贖罪の物語である。



GM   というわけで、今回の舞台は《薬草》と《農業》の特産物を持つ「ホウエンハイム」という村で、村特徴は【名所】と【備え】になるわけだ。



 「村超スピリッツ!」では、キャラクターを作る前に、まずキャラクターが属する「村」を作成します。

 「村」は2つの《特産物》と2つの「村特徴」から成り立っており、《特産物》によって、PCの能力が変わってくるようになっています。

 なお、《特産物》は他の村と交流を重ねることで増えていきます。
 いろんな《特産物》を獲得した村で、新たに別のキャラクターを作れば、また違った楽しみが得られるわけなのです。



GM   PC作成も、村の準備から始めます。
 まず《特産物》の決定からだね。ここに「特産物決定チャート」があるので、6面体ダイスを2個振って、片方を1の位、もう片方を10の位とする「D66」で、《特産物》を2個、決定してもらおう。
 「ROC(ロール・オア・チョイス)」なので、振り直してもいいし、好きなものを選んでもいいよ。
プレイヤーA   うおおおおー! (ころころ)32の15。
GM   《料理》と《薬草》だね。
プレイヤーA   《薬草》は舞台とカブるんで振り直します。(ころころ)《精霊》?
 んじゃ、《料理》と《精霊》で。
プレイヤーC   ロシアの精霊みたい。
GM( )   ロシアの家付き精霊(ドモヴォーイやキキーモラ)とかだね。
プレイヤーB   (ころころ)《祭り》と《奉公》? んー、頑張って何か考えるか。
プレイヤーC   (ころころ)《音楽》と《商業》。
 プロデューサーになって『チミィ〜』とか言ってりゃいいですかね(笑)。
GM   次は【村設定】を2つ決めてね。
プレイヤーA   (ころころ)【奪われたもの】と【隠れ里】。じゃあこれで。
プレイヤーB   隠れ里から物を奪っていくとは、なんという(笑)。
 (ころころ)【呪われた地】と【英雄】。よくわからなくなってきた。
プレイヤーC   (ころころ)【村の秘宝】と【新たなる希望】。
 秘宝は、アイドルかな(笑)。
プレイヤーB   《祭り》と《奉公》で何も降臨してこなかったので、ちょっと振り直します。(ころころ)《宇宙》《刑事》。(一同爆笑)
 ……じゃあ宇宙刑事にするか(笑)。
GM   では、ここからいよいよ、キャラクターのデータ作成だ。



 能力値や特殊能力、武器設定といったデータを決定していくプレイヤーたち。
 データが完成し、残すはキャラクター自体の個人設定となったところで――



GM   じゃ、今度はキャラクターの個人設定として「村長タイプ」を決めようか。
 要するに、君ら一言で言うとどんな奴? ってのを決めるわけだ。
 これもD66のROCでお願い。
プレイヤー( )   (ころころ)【無名者(アノニマス)】。
GM   何らかの理由で、本当の名前を失っているわけだね。
プレイヤー( )   (ころころ)【鑑定者(アプリシエイター)】。
GM   何かや誰かを見定めようとしている、というタイプだ。
プレイヤーC   よし、ぴったりだ。
プレイヤー( )   (ころころ)【守護者(ディフェンサー)】。
 刑事だったら守護者でいいでしょう。



 その後、名前などの設定を決定して、キャラクターが完成しました。


GM   では、出来上がったPCの紹介をしてもらおうかな。
プレイヤーA   ウィー。出身の村は、《料理》と《精霊》の「コックり村」。
 この村はですね、元々はいい料理人を輩出して、周囲の村に「こんな料理できますよー、美味しいでしょー」とか言ってたんですが――
 ある日、突然、流れてきた占い師とかにこっくりさんを教わりまして。
『こっくりさん、こっくりさん、美味しい料理を作るにはどうしたらいいですか?』
『はい/いいえ』
GM   そこを聞くのかよ! しかも「はい/いいえ」で!(笑)
プレイヤーA  『こっくりさん、こっくりさん、いい材料を調達するにはどうしたらいいですか』
プレイヤーB  『いいえ。』
GM   役に立ってねー。
プレイヤーA   その後、コックり村に1人の女の子が生まれまして。
 幼い頃から料理の修業をしてたんですが、思春期だったので、こっくりさんにのめりこむあまり、帰し方を間違えて、代償として名前を奪われてしまいました。
GM   ほう。
プレイヤーA   で、実はこっくりさんは裏村超力の影響だとわかりましたので。
 裏村超力を除去して本当の名前を取り戻して来なさい、と旅に出された、通称“くろいの”です。
GM   こっくりさん裏村長?
くろいの   違います。でもやりすぎると裏村超力が現れます。
GM   駄目じゃん、こっくりさん。
くろいの   ちなみに、武器は《エンジェルさん》。獲物をさばいてください、とお願いすると、精霊のエンジェルさんがやってきて、獲物をさばいてくれます。
GM   その上エンジェルさんまで憑いてるんかい!(笑)
くろいの   そんな感じの、ちょっと頭がユルい女の子です。
 《さばき》で敵を攻撃したり、内的階位(テンション)が上がると《大自然の脅威》を招いたりします。
GM   (GM用シートに書き込まれたPC情報を見て)『備考:ロリ』って、他に書きようはなかったのか……?(笑)
 では、次の人、どうぞ。
プレイヤーB   名前はヤス
 ――裏村超力が世界に満ち満ちると、宇宙にも少なからず影響が出るわけで。
 宇宙には、ラグランジュポイントというものがありまして――
GM   宇宙ステーションとか置くのに丁度いいあたりだね。
ヤス   ラグランジュポイントは、裏村超力が流れ込む吹き溜まりになってしまい、その地域を中心に、宇宙では犯罪が横行ッ!
プレイヤーC   宇宙スラム(笑)
プレイヤーB   そこの治安を守るため、優秀な宇宙刑事たちを送り込むのが、この村。
 最初は「アンチ・ヴァイオレンス・クリミナル――」とか名前があったんですが、だんだんみんなAVCR(アヴァシリ)と呼ぶようになりまして。
 村の名前は、「AVCR番外村」となりました。
 そこで今まで働いていたんですが、身体が衰えてしまったので、一線を退きつつ、《村長連合》に腕を買われ、地上に降りてきた宇宙刑事が、ヤスでございます。
GM   ……備考に、「モノフィラメント老人」とか書いてあるんだけど。
サンチョ   武器は「モノフィラメント手錠」です。
 宇宙のすごい技術により、コートから手錠に至るまで、すべてモノフィラメント。
GM   要するに、「1つの分子からできてるので強度がすごいよ!」と言いたいわけだ(笑)。
ヤス   攻撃能力はそんなにないですが、トラップの感知や解除が得意です。
 「老人」なので、〔体〕が1しかないですが。



 「村超スピリッツ!」では、〔心〕〔技〕〔体〕の3つの能力値のランクの高さで、PCの能力の高さを表します。
 ランクは平均2、最大5で、選んだ《特産物》によって、どのランクが高くなるかが決定され、自分で好きなランクを高めることもできます。
 ヤスのように、「老人」であることを選んだPCは、任意のランクを「1点」下げなければならず、ヤスは〔体〕が1になっているというわけです。
 ですが、その代わり、「老人」は「村長フォース」という、ちょっとすごいパワーを、普通のPCが2点しか持っていないところを、3点保持することができます。



GM   じゃ、最後の1人、どうぞ。
プレイヤーC   ジャニ村出身のジョンソンです。
 ジャニ村は《音楽》と《商業》の村なんで、ジョンソンはプロデューサーとしてアイドルとかを探しています。終わり。
GM   そこで終わるとキャラがつかめない(笑)。年齢とかは?
ジョンソン   んー、なんかキャラ設定があまり浮かばなくて。年齢は35くらい。
 えー、ジャニ村は、スキャンダルによって裏村長が暴かれてしまった村でして。
GM   裏村長がいたの!?
ジョンソン   (だんだん設定が浮かんできたらしい)うちの村の【秘宝】は、裏村長だったんですよ。過剰に期待をしすぎたために、お付きの人と一線を越えちゃったアイドル。
 それが、フ●イデー村みたいなとこにエクスポーズされてしまって、【秘宝】が売れっ子じゃなくなってしまいました。(一同笑)
くろいの   秘宝、売り出すんだ(笑)。
ジョンソン   というわけで、【新たなる希望】を探しに旅に出たわけです。
GM   【村の秘宝】だったアイドルが、グレて裏村長になっちゃったわけか。
 まあ、“力を求める意思”がそれほどじゃなければ、村長が殴っても死なずに元に戻れるしな、裏村長(笑)。
ジョンソン   彼女はいま更生中で外に出られないので、新しい売れっ子を求めて、エージェントであるジョンソンたちが頑張ってるんです。
 よし、そんな感じ。
くろいの   秘宝、秘してないよね。
ジョンソン   いま外に出せないんだよ! 出したらバッシングの嵐ですよ!(一同爆笑)
くろいの   ジョンソン、何ができんの?
ジョンソン   《炸裂! 新商品》で、うちのアイドルたちが召喚されます。(一同笑)
 うちの名産物、アイドルなんで。
『えーと、あたしの得意技の、かかと落とし行きますっ!』と。
GM   では、こんなメンツで……、大丈夫なんだろうか?(一同笑)



OPENING. 『放浪村長ズ』

GM   君たちはいま、パーティを組んで旅をしているところです。
 知り合って、もう2ヶ月くらい経ってるかな。
ジョンソン   まだ名前も教えてもらってないんだぜ。
GM   2ヶ月経って自己紹介もしてないって何事だよ!(笑)
ヤス   おいちゃんのことは、ヤスとでも呼んでくれぃ。
ジョンソン   偽名っぽいな(笑)。俺の名前はジョンソンだ。
ヤス   偽名っぽいな。
ジョンソン   お互い様ですよ(笑)。
GM   そんなことをしながら、道を歩いていると――
 さて、PCはみんな、《村長連合》との通信機を持っていることになっている。
 形状や設定は自由だ。で、その通信機に、なにやら《村長連合》からの通信が入ってくるよ。
ジョンソン   おっと。では、通信機から『ズマップ×ズマップ』の曲が流れ始めます。
くろいの   (無言でこっくりさんシートを広げ始める)
GM   どんな電波的通信機!?
 えー、相手の映像が表示されるんだけど。
ヤス   うむ、《宇宙》の通信機だから問題ない。
くろいの   脳内にビジョンが浮かぶよ。
ジョンソン   ミラーシェードの内側に表示されます。
GM   浮かんだ姿は、タキシード姿で葉巻をくわえた、妖精の少女。ソファにふんぞり返って座っている。
 《村長連合》評議員、《フェアリー・ゴッドファーザー》ことアル・ナポリだ。君たち村長に対して依頼や命令をする立場にある。
『おう、てめーら。仕事だコラ』
くろいの   (高速で10円玉を滑らせながら)つ、通信が早いよぅ。
GM  『ホウエンハイム村っつーところがある。《農業》と《薬草》の村だ。
 「(オトコ)ニンジン」だの、「エリ草」だのってアイテムを輸出している――てめーらも世話になったことくらい、あンだろ』



 PCたちは、1シナリオに3回まで存在する「プライズ判定(P判定)」に成功することで、大地の村超力の結晶である「プライズ・オーブ(Pオーブ)」を入手できます。
 その「Pオーブ」を消費すると、Pオーブのレベル(LV)に応じた「プライズ・アイテム(Pアイテム)」を獲得することができるのです。
 「漢ニンジン」や「エリ草」はその1種で、使用すればPCたちの戦力を増強する効果があります。



GM  『その漢ニンジンが採れなくなっちまったらしい』
ジョンソン   なんだって!?
ヤス   そいつは由々しき事態だねえ。
GM  『詳しくは現地で話を聞いてくんな。じゃあな』 通信は切れる。
くろいの   こっから近いのかな? ホウエンハイム村は。
GM   近いから君たちが選ばれたわけだね。
くろいの   どっかにGPSでもついてるんだろーか。
ヤス   ああ、ついてるぞ。ゼネラル・ポリス・サーチャーが(笑)。
GM   では、くろいのの背後から、『憑イテルヨ……』という声が(笑)。
くろいの   えい!(包丁一閃)
GM   すかっ。
ジョンソン   残念、こっくりさんに物理攻撃は効かない(笑)。
くろいの   エンジェルさん、エンジェルさん、こっくりさんにナタを一発。
GM   ではエンジェルさんが、『憑イテルヨ?』(一同笑)
くろいの   ぐすん。……とりあえずここから、一晩休んだくらいで行けるのかしら。
GM   うん。
ジョンソン   では道を急ごうか。と言って、黒塗りのリムジンに乗っていく。
GM   じゃ、ここでオープニングを終了しよう。


 続く。