1st JUNCTION.

『空に響く、はばたきの音』



Pre Play. 荒野のひなどりたち



『ワイルドアームズ』とはッ!?

 『ソニー・コンピュータエンタテイメント』から発売されている、コンピュータRPGのシリーズです。
 『メディア・ビジョン』製作の、異世界『ファルガイア』を舞台に繰り広げられるマカロニ・ウェスタン・ファンタジー。その作風は、『荒野』『口笛』『ッ!』という3大キーワードによって表されています。
 此度は、テーブルトークRPG『アリアンロッドRPG』でもって、その『ワイルドアームズ』っぽいセッションをやってみようじゃないかということになった次第です。
 ただし、『ワイルドアームズ』シリーズの舞台『ファルガイア』の設定が作品ごとに異なっているのにあやかって、このセッション用のオリジナル『ファルガイア』でプレイすることになりましたので、『ワイルドアームズ』をご存じない方にもお楽しみいただけるはずです。


『テーブルトークRPG』ってッ!?

 『テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム』というのは、プレイヤーが架空のキャラクターを作成し、架空の冒険を楽しむゲームです。
 このゲームを遊ぶには、プレイヤーの他に、『ゲームマスター(GM)』が必要です。GMは、遊びたいテーブルトークRPGのルールブックに基づいて『シナリオ』――『架空の事件』の大まかな流れを事前に決めておきます。そしてプレイヤーたちは、自分たちの作ったキャラクターをGMのシナリオに導入し、冒険を繰り広げるのです。
 プレイヤーは、GMのシナリオの内容を知らないため、アドリブで『プレイヤー・キャラクター(PC)』の行動を決定することになります。その結果、GMが予想もしていなかった事態が起こることもしばしばですが、それこそが、このゲームの醍醐味なのです。


『アリアンロッドRPG』ッ!?

 『ファーイースト・アミューズメント・リサーチ』社が製作した、ファンタジーRPGです。
 今回は、世界観がオリジナル『ファルガイア』なので、RPGシステムとしてのみ、使用しております。
 なお、レギュレーションとして、クラス『ガンスリンガー』を『ウォーリア』相当のメインクラスとして扱うなどの特例を設けております。



  GM   では、セッションを開始しようかッ!
  一同   おーう!
  GM   まずは、PCたちの紹介から始めてもらおうかな。



 人間と、古代種族『エルゥ』が暮らす大地――『ファルガイア』。その地はかつて、異星からの侵略者……半機械生命体である『魔族』と、それに抗う人間たちとの、激しい争いに身を焼かれた。
 高度に発達した科学技術がせめぎあい、やがて、少数の魔族のみがファルガイアの辺境に避難し、他は全滅させられた。だが、人間側の被害も甚大に過ぎた――科学文明は崩壊し、大地は荒廃し、動物の変異種たる『魔獣』が跋扈するようになった。
 また、星の守護獣たる『ガーディアン』と交信する能力を持っていたエルゥは絶滅し、ガーディアンもまた深い眠りについたという。いまや、星を守る加護は失われ、かつての激戦の爪あとが、なおもゆっくりと星を蝕んでいるのだった。
 砂漠化が進むその地で、人は、身を寄せ合い、街を作り、古代文明の遺産を駆使して、生き続けている。
 だが、それを緩慢なる滅亡への道程と見る者は、決して、少なくはなかった――



  GM   ではまず、PC1から自己紹介をお願いします。
  PC1   はい。名前は『ジェイン・ジャック』。年齢は22歳で、性別は男だな。行くあてもなく、『渡り鳥』稼業で暮らしている。ちなみに、今は所持金ゼロ。(一同笑)
  GM   キャラクター作成時のカネをすべて使い切ったんだな。で――、前に、死にかけたことがあるんだっけ?
  ジェイン   ああ、そうそう。なんか死にかけたんだ。記憶障害で、何があったか覚えてないけど。
  GM   そのせいなのかどうなのか、やたらと美形なわけだ。
  ジェイン   おう。容姿には自信があるぜ。
  PC2   『首から上には自信があるのさ!』(笑)
  ジェイン   だから、『渡り鳥』稼業で稼げないときは、その顔を使ってどうにかするときもある。(一同笑)



ジェイン・ジャック

 人々の依頼をこなしながらファルガイア中を旅する、『渡り鳥』の青年。
 古代技術の一種であるARM(アーム)と呼ばれる兵器を使いこなす、『ガンスリンガー/レンジャー』。彼が使う二挺拳銃は、彼自身の精神とリンクさせることで、並みならぬ破壊力を発揮する。
 かつて、死に至るほどの体験をしたことがあるようだが、そのときの(それまでの?)記憶はない。ただ確かなのは、彼がARMを使う適性と、類稀なる美貌を備えているということだけだ。


※ 補足事項 ※

 『アリアンロッドRPG』には、『ライフパス』というデータがあります。これは、キャラクターの生い立ちや経歴を決定するものです。
 今回、ジェインが『死にかけた』とか『美形』とか言っているのは、サイコロ(ダイス)を振って、ランダムにライフパスを決定した結果なわけです。(出自:容姿端麗、境遇:黄泉がえり)
 なお、種族は『人間』なので、アリアンロッドの『ヒューリン』相当としています。



  GM   では、次はPC2。
  PC2   『ライム・ブルースカイ』。15歳、女。『バスカー』の民らしい。エルゥの血が混じってるせいか、『ライフパス:天啓』があって、ガーディアンの声を聞くことができるよ。で――、なんかあって、村を追い出されました。
  GM   待てぇ!? まだ! まだ追い出されるな! そんな設定は認めんぞッ!(一同笑)
  ライム   じゃあ、いずれ追い出されるということで(笑)。そんな感じで世界を旅してます。
  GM   まだ旅すんな。オープニングさせろ。(一同笑)



ライム・ブルースカイ

 エルゥが絶滅した後、その役目を引き継いで、守護獣(ガーディアン)を崇めることにした一族『バスカー』の少女。中でも、エルゥの血が混じっており、他の者より強くガーディアンの声を聞くことができる巫女である。
 『アコライト/サモナー』として、癒しと守護の術に長けるのだが、性格はこっぴどい。


※ 補足事項 ※

 ライムもまた、『エルゥの血を引いている』という設定を、『ライフパス』でゲットしました。(出自:特別な血統)
 その結果、《マジカルハーブ》のスキルを獲得しています。
 種族は『人間』なので、アリアンロッドの『ヒューリン』相当としています。



  GM   今度はPC3。
  PC3   『フィル・ハーケン』、23歳、女です。元人間で、死にかけたところを魔族に拾われ改造されて、今は魔族。
  GM   で、『人間の情勢を見て来い』と放り出されて渡り鳥、と。
  ライム   『人間の女性を見て来い』に聞こえたよ。(一同笑)
  PC4   『人間の女性を見習いたまえ!』(笑)
  フィル   魔族、そんなこと言わないから!(笑)



フィル・ハーケン

 幼い頃にわずらった病のため、生命の灯火が尽きかけていたところを、異星からファルガイアに降り立った、半機械生命体『魔族』の技術によって、魔族として生まれ変わった女戦士。
 長大な鎌を高速で振り回す、『早撃ち』なる剣技に長けた、『ウォーリア/サムライ』である。
 かつては人間と争った魔族も、今や世代が変わり、この大地に適応せんとしている。そのなかで、人間の情勢を調査するべく派遣されたのが、彼女であった。


※ 補足事項 ※

 フィルは、ライフパスで、『出自:異種族の親』と『境遇:黄泉がえり』を獲得しました。
 また、『魔族』は、アリアンロッドの種族『ドゥアン』相当としています。



  GM   そして、最後にPC4。
  PC4   はい。少数種族『ノーブルレッド』の『ブリゲッラ』、女性です。……自分は戦わず、常に相棒を取り替えて生きてきました。
  フィル   えええええー?(笑 ← 現在の相棒)
  ブリゲッラ   で――、偶然、酒場で声をかけたおねーさんが魔族でした。(一同笑)
  フィル   魔族って、バレちゃいけないんじゃなかったっけ?(笑)
  ブリゲッラ   お風呂でドッキリ。『きゃあ、魔族!』(一同笑)
  ライム   自分だって、ノーブルレッドのくせにぃ(笑)。



ブリゲッラ

 長寿を誇る吸血種族『ノーブルレッド』の女性だが、素性を隠し、渡り鳥としてファルガイアを旅している。
 『メイジ/セージ』として、呪札を用いた魔術『クレストソーサー』に長けており、また、魔獣の特徴や弱点にも詳しい。
 基本的に、一歩離れた立ち位置から、飄々と一同を見つめる、つかみどころのない人である。


※ 補足事項 ※

 ブリゲッラは、ライフパスで、『出自:天然ボケ』と『境遇:正義』を獲得しました。(……ホントか?
 また、『ノーブルレッド』は、アリアンロッドの種族『エルダナーン』相当としています。



  GM   では――、こんなメンツで、セッションを始めようか。まずは、PC1のオープニングから。
  ジェイン   おう!



Opening.01 黄昏の包む地で

  GM   ここは、荒野の真ん中にある交易都市、『ジョリーロジャー』。渡り鳥を含め、いろんな稼業の人々が集まってて、鉄道も走っている。そんな街で、君は――所持金がゼロ状態だったな。
  フィル   所持金ゼロって、ARMの整備もできないんじゃ? ARMがなきゃ、ただのプーだよ。(一同笑)
  GM   そうだな、実際、ジェインのARMはこの間の仕事でちょっと調子がイカれている(笑)。
  ジェイン   くっ、これがなきゃ、俺は生きていけないんだ。どうにかして、仕事を探さなければ。
  GM   と。石造りの建物が並ぶ、砂塵まみれの大通りの真ん中で、都合よく、君は知り合いの『ARMマイスター』の店を発見するよ。
  ジェイン   おっ! あいつなら、俺のこの銃を直してくれるはずだ。というわけで、中に入っていくよ。



ARM(アーム)

 かつて隆盛を極めた科学技術文明の遺産。多くは銃や砲の形状をしており、発射される弾丸は凄まじい威力を発揮する。
 だが、使い手はARMと精神を同調させなくてはならないため、ARMの使い手は限られてしまう。
 現在、古代文明の遺跡を発掘することで、都市の上級衛視や渡り鳥などが主にARMを入手している。それを解析し、修理するのがARMマイスターだ。彼ら自身はARMを使えないが、ARMの整備や修理には精通しているのだ。

 ……というのが、このリプレイでのARMの設定となります。
 原作ゲームでは、タイトルによって世界観が異なるため、ARMの設定もそれぞれ違っています。
 『精神リンクによって作動する重火器』であることが多いですが、全世界の人がARMを使えたり、稀少な素質の持ち主しか使えなかったり、世界に3人しか使用者がいなかったりと、様々です。



  GM   店の中に入ると、『あいよっ……と、お前か』と、君の友人、ARMマイスターの青年・トニーが声を上げる。
  ジェイン   おお、トニー。久しぶりだな。



ワイルドアームズ豆知識:『トニー』

 原作シリーズには、必ず序盤に『トニー』の名を持つキャラクターが登場します。
 『ワイルドアームズは、トニーに始まりラギュ・オ・ラギュラ(隠しボス)に終わる』という言葉があるほどです。



  GM  『なんだ、どうした。ARMの調子がおかしいってか?』
  ジェイン   おお、その通りだ! もちろん、おまえは親友だから、タダで直してくれるよな!?
  GM   トニーは、笑顔で君の肩を叩く。『……ツケな?』(一同笑) で、そのままARMの整備を始めた。
『もうちょっと、繊細に扱えっつーの』
  ジェイン   し、しょうがねえだろ。俺は、もともとこういうのは向いてないんだ。
  GM  『……女の扱いはうまいくせに』(一同笑)
  フィル   ホストになった方がいいんじゃあ?(笑)
  GM  『まったく……俺たちゃしょせん、古代技術を模倣してるにすぎねえ。だから、ブラックボックスに支障が出ちまうと、ARMマイスターでもお手上げなんだぜ』
  ジェイン   ……え? まさか――
  GM  『今回は大丈夫だがな。もっと気をつけろよ、って話だ。ほれ、こんなもんでいいだろ』
  ジェイン   おう、サンキュー。さすがだな、トニー。そうだ、いま仕事を探してるんだが、なんかないか?
  GM  『酒場にでも行きゃ、なんかあるんじゃねえか? 渡り鳥専用の掲示板とかあるんだしよ』
  ジェイン   そうか、酒場か。コイツが壊れていたせいで、酒場にも行く気がなんなくてな。もう、この顔でどうにかしようかと……
  ライム   ツバメ? ツバメ?(笑)
  GM  『そういや最近、魔獣が活発化しているらしいな』
  ジェイン   そうなのか? てことは、仕事が増えてるかもしれないな。
  GM  『だが、一抹の不安を感じるぜ。最近はいい噂を聞かねえからな。《黄昏化》が進んでるってのも、間違いねえようだし……』
  ジェイン   《黄昏化》って……ああ、砂漠化のことか?
  ブリゲッラ   うつ病みたいなもんじゃないの?
  ライム   「たそがれる」違いだから。『ある日、窓を見て体育座わり』じゃないんだから(笑)。
  GM( )  『この星を侵食し、緑なす大地を砂漠と荒野に変えていく荒廃現象(デヴァステイション)――それを、《黄昏化》って名づけた詩人がいたのさ』
  ジェイン   そんな大規模なことを言われてもなぁ……。俺は、日々の生活をどうにかするだけで、精一杯なんだ。
  GM  『はいはい。まったく、渡り鳥って連中は……。たまには、世界を救う英雄ばりの活躍でもしてみろよ』
  ジェイン   無理だな。
  ブリゲッラ   即答(笑)。
  GM  『はあ……。ま、いいけどよ――んじゃ、気をつけろよ』
  ジェイン   おう。いろいろありがとな――って言って、酒場に向かおう。
  GM   では、トニーの店の扉を閉めたあたりで、君のオープニングは終了だ。


 続くッ!